台湾で医師ら10人が院内感染~最大の危機感

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陸軍兵士を派遣して患者搬出に使った車両を消毒した(写真提供:中央社)

 台湾桃園市にある台湾衛生福利部(陳時中部長=コロナ対策本部長)が運営する「桃園病院」で1月20日、新型コロナウイルスの院内感染が発生した。同日夕刻までに医師や看護師、その家族らを含む10人の感染者が確認された。台湾当局は感染拡大を防ぐため「2月以降に予定されていた春節(旧正月)のランタンフェスティバルなどの催しを相次ぎ中止する」と発表した。さらに、学校の終業式をオンライン方式に変える自治体も出ており、厳戒態勢の様相を呈している。

 感染者は、1月12日以降に米国から戻った感染者を治療した30代の男性医師と看護師やその家族ら計10人。当局は入院患者220人の転院を決めたほか、病院の職員427人を隔離した。台湾国防部は1月19日以降、陸軍兵士を派遣して患者搬出に使った車両を消毒した。兵士らには、同市内の公共施設などへの出入りを避けるよう命じた。

コロナ対策本部は1月19日、各地で予定される春節の祝賀行事の延期や中止を要請。台湾行政院は北部の新竹市で予定されていたランタンフェスティバルの中止を決め、1月20日に予定していた市内全校の終業式をオンライン方式に切り替えた。このほか、中部や南部の自治体も祝賀行事を取りやめた。寺院への参拝自粛の動きも広がっているなど、台湾社会に影響を与えている。

陳対策本部長は1月20日の会見で「感染者の人数や隔離者の規模などから、これまでで最大の危機だととらえている」と述べた。