陳銘俊総領事が熊本県和水町を訪問し、姉妹縁組について意見交換

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陳総領事を囲んで。和水町の高巣町長(左)と蒲池議長(右)

新年早々の2022年1月7日、陳銘俊・福岡総領事が熊本県和水町(なごみ町・高巣泰廣町長)を訪問、同町と台湾の市町村との姉妹縁組などについて意見を交換した。

和水町は日本で最初に近代オリンピック(1912年=明治45年の第5回ストックホルム大会)にマラソン選手として出場し、後に箱根駅伝の生みの親ともなった金栗四三氏の生誕地であるが、昨年末に近隣の菊陽町に台湾の大手半導体工場(TSMC)の進出が決まったこともあり、台湾の自治体との姉妹縁組の機運が高まっていた。

そのような中で昨年末、陳総領事と蒲池恭一・町会議長が出会った機会に希望が伝えられ、この日の総領事訪問が実現、行政及び議会関係者との意見交換を行った。

意見交換する関係者たち (左手前・高巣町長、右手前・陳総領事)

高巣町長は最初に2011年の東日本大震災に際して寄せられた多額の支援金に見られる台湾国民の日本に対する思いやりに触れ、いつまでも忘れられないものであると感謝の言葉を伝えた。更に世界一の集積回路製造企業であるTSMCの熊本工場建設決定を歓迎し、これをきっかけに和水町に関連産業が立地したり、台湾の自治体との姉妹縁組が出来れば喜ばしいとの希望を表明した。

これに対して陳総領事は「和水町に立ち寄ったのは初めてだが、生まれ故郷である花蓮・吉野村に帰ったような気がしてホッとしており、安心感に包まれている」と切り出し、「台湾人が一番好きな外国は日本だが、『好き』の程度は日本人の想像を超えており、友達というより兄弟、家族のように思っている。だから日本の地震、台風などの災害は自分が受けたもののように思う。台湾人にとって日本で起きることは他人事ではない。1995年の阪神・淡路大震災の時も台湾人はそれぞれの立場で何ができるかを考え、支援を実行した。その4年後(1999年)の台湾大震災では神戸大学医学部をはじめ日本各地からの救援隊(145人で世界最多)が多くの台湾人の命を救った。2016年の熊本地震では日本に住む台湾人や高雄市、台南市などから義援金が寄せられた。コロナ禍においても台湾から日本へは医療用マスクやガウンが、日本から台湾へはワクチンが供給されるなど、互いに想い合い・補い合う行動は世界に類を見ないものだ。

和水町との姉妹縁組に当っては、教育、文化、スポーツ、生活、行政など、万遍なく広い分野で交流することが必要だ。友人なら恥ずかしいことでも家族なら何でも相談できる。補い合える。そのような交流を町長、議長をはじめ多くの関係者の力を借りて構築したい」と述べた。

また「人の往来を見ると、台湾からは毎年550万人超が日本に来ている。これは人口の5人に一人であり、5人家族なら必ず誰か一人は来ていることになる。日本からはその半分に満たない。この面でも日本と台湾との関係が片想いにならないような姉妹関係が構築出来ることが望ましい」と付け加えた。

具体的な相手選びについては、豊富な水、温泉、緑の森、運動施設、高速交通の便利さなど、和水町が持つ特徴との共通性も考慮して候補を絞るなど、日本側、台湾側で早急に準備を進めることを確認して関係者が記念写真におさまった。

行政、議会の代表者たちと記念撮影