李登輝友の会がセミナー開催 柚原事務局長が講演 麻生氏の台湾訪問は「画期的」と評価

0
日本李登輝友の会のセミナーで講演する柚原事務局長(右側中央、李登輝氏の写真の前)

台湾を訪問した麻生太郎自民党副総裁が台湾有事に関して「戦う覚悟が必要」との見解を示し、台湾、日本のマスコミが大きく報道したが、これに関連して「日本李登輝友の会」は8月26日、東京都内でセミナーを開催し、同会の柚原正敬事務局長(常務理事)が講師を務め、麻生氏の台湾訪問の意義について「画期的だった」などと解説した。柚原氏は2002年の同会設立時から事務局長を務め、日台関係をウォッチしている。セミナー参加者は熱心に耳を傾けた。

頼副総統と会談した麻生副総裁(右)(写真:総統府)

麻生副総裁は8月7日から3日間、台湾を訪問し、台湾外交部(外務省)などが主催した安全保障に関連したフォーラムで講演した。講演後、蔡英文総統、頼清徳副総統、蒋万安台北市長らと会談した。頼副総統は来年1月の総統選に与党民進党から立候補を予定しており、麻生氏は野党から立候補予定の柯文哲前台北市長(民衆党)、侯友宜新北市長(国民党)とも面会した。

麻生氏の「戦う覚悟が必要」との発言は講演の中で、台湾有事を引き起こさないようにする「抑止力」に言及した流れで行われ、「われわれにとって最も大事なことは台湾海峡を含むこの地域で戦争を起こさせないことだ」と明確に語った。

麻生氏は、抑止力は①(軍事力、防衛力の)能力があること、②力を使う意思と国民的合意があること、③それを相手に教えておく(相手に理解させる)―その3つがそろって初めて抑止力になると説明した。そのうえで、③の戦う覚悟を伝えることについて、「お金をかけて防衛力を持っているだけでは駄目。いざとなったら使う、台湾防衛のため、台湾海峡の安定のためにそれを使うという意思を相手に伝えておく、それが抑止力になる」と力説した。

また、柚原氏や台湾側の報道などによると、麻生氏は頼副総統との会談で、有事の際の台湾からの日本人の退避や、台湾が自己防衛力を発揮できるかなどについて言及した。頼副総統は、インド太平洋の安全を守り「台湾の政治的決意を見せる」と語ったという。

柚原氏は、麻生氏は首相経験者であり自民党副総裁の地位にあり、近年の台湾を訪問した日本の政治家の中で最も高いレベルだと指摘した。柚原氏は、今回の台湾訪問で「自由で開かれたインド太平洋」の実現を前提に「台湾海峡の平和と安定」を守るという日本のメッセージが発信されたと説明し、「今後、台湾有事の対応について、『実務関係』として日台の政治家同士が話し合う道筋をつけた」などと解説した。