中国の新地図にアジア一斉反発 台湾「中国に隷属してない」

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台湾外交部「中国に隷属してない」とコメント

中国自然資源部が8月28日に公表した「2023年版標準地図」をめぐり、アジアで非難が広がっている。地図には中国が南シナ海周辺の領有権主張に用いる独自の境界線「九段線」を拡大し、台湾東部に新たに線が引かれて「十段線」を記した。

またヒマラヤ地域において中国が「南チベット」として領有権を主張するインドのアルナチャルプラデシュ州も中国領として記録し、尖閣諸島地域も自らの領土だと主張した。

これに対し領有権を争うフィリピンやベトナムなどのほか、台湾からの反発もあった。

中国自然資源部が2023年標準地図発表(写真:中国標準地図サービスシステム)

フィリピン外交部は声明で「南シナ海における中国の主権主張は、すでに16年の仲裁裁判所に却下された」と言及し「中国の主権を正当化しようとする試みで、何の根拠もない。仲裁裁判所の裁定の遵守を求めている」とした。ベトナムも「我が国の海域に対する主権、管轄権を侵害している」と非難した。同じ領有権問題で中国と争っているマレーシアとインドも、順次に声明を発表し「他国の領土も自分の領土を見なすのは中国の悪習だ。ただ国境問題の解決を複雑にするだけだ」と反発した。

台湾外交部は日本メディア「日経アジア」の取材に対し「中華民国台湾は主権国家であり、中華人民共和国に隷属していない。この事実も国際社会に認知されている」とし「例え中国はどうやって台湾の現状を歪んで解釈しても、中華民国台湾が存在している客観的事実を否めない」とコメントした。

中国外交部、領有権主張を正当化(写真:中国外交部)

なお、中国外交部の汪文斌報道官は定例記者会見で、地図に関して「関係方面が客観的で理性的に対応することを望む」と述べ、領有権主張を正当化した。