李代表、沖縄県知事選を分析 古謝氏勝利の鍵は基地問題だけでなく「県民生活と経済」

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【東京訊】台北駐日経済文化代表処(李逸洋代表=大使に相当)の李大使は、先の沖縄県知事選挙について見解した。42歳の無所属新人で前那覇市副市長の古謝玄太氏が、現職の玉城デニー氏を破って当選した沖縄知事選。2期8年にわたり県政を担ってきた玉城氏を破った選挙戦について述べたもの。

以下に要約した見解。

古謝氏の勝利によって、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設に反対する政治勢力が主導してきた過去12年間の沖縄県政が転換しました。これによりまして、基地問題をめぐる沖縄県と中央政府との長年の対立が緩和される可能性があります。また、高市早苗政権が進める日米安全保障政策にとっても、新たな動きにつながる可能性があります。

今回の選挙結果は、米軍基地問題に対する賛否だけではありません。勝敗を大きく左右したのは、県民が最も身近に感じている「生活や地域経済の問題」だったと思います。沖縄県の1人当たり所得は全国47都道府県の中でも低い水準にあり、物価高による県民生活への負担も続いています。こうした中、古謝氏は選挙戦で地域経済の振興を前面に打ち出し、県民1人当たりの年間所得を500万円に引き上げる目標を掲げました。その実現に向け「観光、健康、環境、海洋、スタートアップ」の5分野を重点的に発展させ、AI、観光経営、ビジネス分野の人材育成にも力を入れる方針を示しました。

加えて観光分野でも、観光客1人当たりの消費額を2倍にする目標を掲げ、空港機能や航空路線、便数の拡充を訴えました。さらに物価高対策として、エネルギーへの補助、社会保険料の負担軽減、小中学校の教育費無償化、学校給食の無償化などを掲げ、医療体制の改善、道路整備、防災、交通環境の改善など幅広い政策を提示しました。「沖縄を変えなければならない」「沖縄経済を発展させる」という訴えが県民の心をつかみ、支持につながったと思います。

古謝氏は東京大学出身で、総務省勤務を経て、内閣官房で沖縄振興業務に携わり、復興庁参事官補佐、長崎県財政課長、那覇市副市長などを歴任しました。42歳という若さに加え、豊富な行政実務経験を持つこと、現実的な政策を打ち出したこと、選挙期間中に地域をきめ細かく回ったこと、SNSを積極的に活用したことなどが、有権者の支持を広げた要因と見ています。

一方、玉城氏については、生活や経済、地域福祉に関する政策も掲げていたものの、すでに8年間県政を担ってきたため、有権者にはその実績を評価する十分な時間がありましたが、現状に対する不満があり、新たな政策を提示しても有権者への訴求力には限界があったと見ています。玉城氏が翁長雄志前知事から続く「オール沖縄」の政治路線を継承し、辺野古への米軍基地移設を反対し「台湾有事は日本有事」にも反対しました。この結果、沖縄が軍事的対立の最前線になる懸念が高まり、外交と対話による平和的な問題解決を重視した立場をとり、中国を含む周辺地域との友好関係を重視した結果だと推察します。

古謝氏の勝利によって、沖縄県政は大きな転換点を迎えることになります。今後、辺野古移設問題をはじめ、沖縄県と中央政府との関係、日米安全保障政策、さらには台湾海峡の安全保障をめぐる沖縄の立場にどのような変化が生じるのか、台湾にとっても注目すべき動きとなりそうです。

なお、日本の都道府県知事選挙では、多くの候補者が「無所属」で立候補しながら、複数政党から推薦や支持を受けるケースが多い。地方議会や県政運営において幅広い政党から協力を得ることが、その背景にあると見ています。

写真:古謝玄太氏のFacebook公式ページより

2026.09.16