日華平和条約発効60周年(複製)史料展が開催

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外交部と輔仁大
 
 中華民国外交部と天主教輔仁大学は11月2日より輔仁大学國璽樓で「日本国と中華民国との間の平和条約発効60周年(複製)史料展」を開催している。期間は8日まで。開催初日には開幕セレモニーが行なわれた。
 
 この史料展は1952年8月5日に発効された日華平和条約を記念したもので、条約自体は1972年の日華断交により失効したが、サンフランシスコ講和会議に招請されなかった中華民国と日本国間で戦争状態の終了や台湾に於ける日本の領土権の放棄、台湾人の中華民国国籍恢復などが明記されたものであり、今回はそれを含めた日本と台湾に関連する外交文書の複製本を展示するものだ。
 
 今回展示された史料は「日華平和条約」のほか、清朝時代1722年頃の台湾の漢民族や原住民の様子を記した「台海使槎録」を始め、「下関条約」、「カイロ宣言」、「ポツダム宣言」、「日本降伏文書」、そして日本の統治下であった台湾及び澎湖の中華民国帰属に関する史料だ。原本は重要文書として故宮博物院等に保管されており、非公開である事から今回は複製本の展示となっているが、普段目にする事の出来ない日台間の公的文書の全文に触れる事が可能だ。
 
 また、外交部では今回展示されている文献を通して緊張状態が続く領土問題における台湾側の主張の根拠を提示し、同時に国内及び国際社会に対して中華民国が領土問題の平和的解決を目指す為に取り組む「東シナ海平和提議」及び「東シナ海平和提議推進綱領」をアピールしたいとの狙いもある。
 
 開幕セレモニーには輔仁大学の学生ら30人がつめかけ、史料展示に対する関心の高さ示していた。続いて行なわれた特別解説では、輔仁大学ドイツ語学科の卒業生でもある外交部研究設計委員会谷瑞生副主任が自ら史料の解説を行い、集まった学生は熱心にメモを取るなど、中華民国と日本の外交史に興味深く聞き入っていた。
 
 主催者側の輔仁大学外国語学部日本語文学科何思慎教授は、本紙のインタビューに対し「この催しは多くの人に歴史を理解してもらう事が目的である。日台関係の理解には歴史理解は欠かす事が出来ない。特に外国語学部の学生は言語学習だけを重視しがちな事から、外交部、輔仁大学外国語学科、日本研究センター等共同で歴史資料を公開する事によって多くの人に過去を認識してもらいたい。」と語った。外交部によるこの催しは既に10月から国立中興大学、国立政治大学などでも行なわれており、今回の輔仁大学では11月8日まで開かれる。