蔡総統「情勢判断を誤らないよう」北京当局に呼びかけ~新年の談話を発表

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蔡英文総統は新年の談話を発表した(写真提供:中央社)

蔡英文総統は元日、台湾総統府国旗掲揚式典の終了後に総統府大礼堂に移動して新年の談話を発表した。

蔡総統は談話を通して(1)引き続き世界へ向かって歩みを進める(2)経済発展の動力を維持する(3)社会安全システムを強化する(4)国家主権を守る―の4つの施政方針を示した。

蔡総統はまた「香港を支持するという台湾の立場に変わりがない」と繰り返し、「軍事行動は台湾海峡両岸の立場の違いを解決するための選択肢にはならない」とし、北京当局に対して「情勢判断を誤らず、内部で軍事的冒険主義が広がるのを防ぐべきだ」と呼びかけた。

蔡総統はこの談話で、2021年の内政と政策の具体的成果についても振り返った。2022年については「安定した政権」の維持が最も重要な目標だとした上で、「我々は断固として主権を守り、自由と民主主義の価値を守り、領土と主権、国の安全を守り、そしてインド太平洋地域の平和と安定を維持する」と約束した。 さらに、香港問題にも言及した。「2021年12月、香港で行われた立法会議員選挙が北京当局の干渉を大きく受けた事は香港の民主主義の発展に影を落とすものであり、数日前、香港で多くのメディア関係者が逮捕された事は香港の人権及び言論の自由に影響するものだ」と懸念を示した。

蔡総統はこれらを踏まえ、「民主主義と自由を追求することは犯罪ではない。香港を支持するという台湾の立場はこれからも変わらない。香港に関心を寄せると同時に、我々はこのかけがえのない民主主義と自由をさらに大切にしていきたい。台湾をさらに良くし、民主主義の台湾には権威主義の中国の陰影から抜け出す勇気があり、圧力に屈することはないということを世界にアピールしよう」と訴えた。

続いて台湾海峡両岸関係については「近年我々は対岸(中国)に対して、香港から民主主義と人権をはく奪しないよう呼びかけてきたし、台湾に対する軍事的介入や外交的弾圧に対しても厳重に抗議してきた。対岸のこうした行為は、この地域の平和と安定の維持になんらプラスにならないからだ」と述べた。また、「圧力を受けても屈せず、支持を得ても冒険はしない」が台湾のこれまでの立場だとした上で、北京当局に対して「情勢判断を誤らず、内部で軍事的冒険主義が広がるのを防ぐべきだ」と呼びかけた。

蔡総統はさらに「軍事行動は台湾海峡両岸の立場の違いを解決するための選択肢にはならない。軍事的衝突は経済の安定に打撃を与える。我々がそれぞれに国民の生活を良くし、社会と民心を安定させるために取り組めば、平和的手段で共に課題に取り組み、解決方法を模索しようとする空間と雰囲気が台湾海峡両岸に生まれる。これは地域の緊張した状況を緩和することにもつながるだろう」と述べた。

今年の元旦のテーマは「堅韌台湾、立足世界(強靭な台湾、世界に立つ)」。蔡総統は「台湾には強靭な国民がいるから、これを成し遂げることができる」と胸を張り、過去1年間にわたる国民の努力と貢献に感謝した。そして最後に「今年、我々は共に課題を克服し、大きく前に進もう。2022年明けましておめでとう。皆さんありがとう」と談話を締めくくった。