「台湾日本語教育学会創立30周年記念セミナー」 台湾・淡江大学で開催 AI時代の日本語教育を模索 

0
淡江大学で開かれた台湾日本語教育学会のセミナー

台湾新北市にある淡江大学の国際会議場で「台湾日本語教育学会創立30周年記念セミナー」が開催され、台湾、日本、韓国の日本語教育にかかわる大学教授や学生など約150人が参加して、「DX(デジタル・トランスフォーメーション)時代の日本語教育の挑戦と課題」をテーマに、講演、論文発表などを通じて研究成果が報告された。

講演する曾秋桂教授

セミナー主催者によると、同大学の「村上春樹研究センター」と「台湾日本語教育学会」の共催。開幕式では淡江大学外国語学院の呉寶院長が講演に立ち、「人工知能(AI)時代には、外国語学習はAIと緊密に連携する必要がある」と指摘した。そのうえで、未来の外国語教育は外国語(の読み書く話すを)普及させるという旧来のやり方よりも、より先進的な専門的な外国語教育人材を養成する方向になる。普及型外国語学習は(翻訳機など)AIが代わりに行うことになり、それら専門的な外人材養成を達成するには教育システムの中で行うしかない、などと語った。

講演する林雅子准教授

台湾交流協会台北事務所新聞文化部の村本千晶部長は、セミナー開催に祝意を示すとともに、日本語教育学会は30年間にわたって順調に運営されており、さらにAI、DXという新しい日本語教育を組み合わせた革新的な日本語教育が世界の標準となるよう期待している、などと語った。

日本から参加した東北大学高度教養教育・学生支援機構の林雅子准教授は、豊富な国際交流の体験から、「VR(バーチャルリアリティ)とメタバースで世界をつなぐ国際協働学修」と題して講演した。

村上春樹研究センター主任と日本語教育学会理事長を兼務する曽秋桂・同大学教授が、「ChatGPTとメタバースを応用した日本語作文の研究成果」と題した論文を発表した。他に、大阪大学の竹村治雄教授、韓国日本語教育学会の金志宣会長、日本比較文化協会の澤田敬人副会長らが講演したほか、中国文化大学、輔仁大学、東呉大学、文藻外語大学らの関係者が参加した。閉幕式では曽教授が来年、同大学で「東アジア日本研究者協議会第8回国際学術討論会」を行うことを発表し、セミナー参加者に同討論会への参加を求めた。