次回の選挙、馬英九に匹敵するスターなし!

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「次の総統選挙に、2008年総統選挙時の馬英九に匹敵するスター的存在はいない」(平成国際大学法学部・浅野和生教授)

浅野教授は8月9日、日台関係研究会が主催した講演会「6大都市市長選挙と台湾の政治情勢」にてこう断言した。

平成国際大学法学部・浅野和生教授
平成国際大学法学部・浅野和生教授

台湾・中央選挙委員会の資料によると、2008年の総統選挙で中国国民党の馬英九候補が民主進歩党の謝長廷候補に220万票もの大差をつけて当選した。その時の両候補の得票率の差は16.9 ポイントだった。これは当時の馬英九人気に起因したもので、台湾全土では、ほとんど同じような票が民進党から国民党へとスイングしていた。

しかし、スターであった馬総統も国民からの信頼はみるみる下落し、いまでは台湾での支持率は9%程度となっている(地元テレビ局世論調査調べ)。浅野教授は講演で、國立政治大学選挙研究センターが1992年6月から2013年12月まで実施した台湾世論調査で、「自分は台湾人か、中国人か」及び「各政党支持率」の結果を発表し、これが馬総統政権の人気下落が関係している、と指摘した。また、自分は何人かという問いに対しては、2007年まで「自分は中国人でもあり、台湾人でもある」という考えの人が多く、2007年の時点で44.7%であったが、馬英九政権が発足した2008年を境に「自分は台湾人である」と答える人が年々増え続け、2013年の時点で57.1%に達した。これは馬総統の中国よりの政策が起因の1つであるようにもとらえられる。さらに、各政党支持率の面では、馬総統属する国民党の支持率が2011年より大きく下落し、2013年には国民党支持率26.7%に対し民進党の支持率は25.7%と僅差だった。浅野教授は馬総統の人気下落は学生らにより本年3月から4月にかけて発生したひまわり学運以後ますます加速したと話した。こうなった以上、馬総統の支持率を取り戻すことは不可能に近いであろう。だが、馬総統政権が支持されないところで、抜きん出て総統に相応しい候補者がいないというのが今の現状である。浅野教授は「11月の地方選挙、あるいは2016年の総統選挙に向けては政党支持の開きがほとんどない状態で選挙を迎えるだろう。つまり誰がでても可能性はあるということ。2008年総統選挙当時の馬英九ほどの人材がいないのは明らかだ」と述べている。同会に参加した台湾人留学生は「台湾の若者が考えなければならないのは、国民党か民進党かといった党だけの話ではなく、台湾の未来にとってどのような政策が大切かということだと思います」と話した。

浅野教授のいう「11月の地方選挙」とは、台湾では「九合一選挙」と呼ばれる大規模な選挙の事である。9種類の選挙が一斉に行われるが、なかでも1番の注目は6大都市市長選挙だ。この選挙は2016年の総統選に影響してくる。とりわけ台北市長選挙は、次期総統の有力候補の1人となる可能性が高い。これまでの傾向として、総統を勤めた李登輝氏、陳水扁氏、そして現職の馬英九総統が台北市長を務めた後に総統に当選していることがその要因に挙げられる。11月の九合一選挙で、彼らを超える次世代のスター誕生となるか、今後の台湾政治の動向に注目したい。

講演会は満席だった
講演会は満席だった

 

「九合一選挙」とは?

11月28日に行われる台湾地方選挙は、9種の選挙が同日投票となることから、台湾では「九合一選挙」ともよばれている。台湾全人口の70%が住む、台北市、新北市、台中市、台南市、高雄市そして2014年12月25日に県から直轄市に昇格した桃園市といった6大直轄市での市長選挙、市議会議員選挙のほか、その他の県、市の首長と議員、自治体の選挙を一挙に行い、同日に11030人が選出される大規模な選挙である。

 

 

 

 

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