交流協会は1月22日、台湾・金融監督管理委員会(以下:金管会)の王儷玲副主委を招いて台湾情勢セミナーを開催した。王副主委はセミナーで、日台間の金融協力のチャンスに、台湾の保険会社による不動産投資をあげ、講演した。
金管会では2014年12月より、台湾の保険会社の資金運用ルート拡大と投資収益向上のため、保険会社によるRBC(Risk Based Capital)制度下における海外不動産リスク係数を下方修正している。さらに保険会社の海外不動産投資を奨励するなど、これらが起因して現在、台湾の保険会社はロンドンやニューヨークなどでオフィスビルやその他の不動産への投資が活発化している。金管会ではさらにその次なる対象として、東京に目を向けていく考えも表示している。
王副主委はその理由として「台湾の保険会社は日本の不動産市場に対し、今後引き続き伸びていく傾向にあると判断している。なお、日台関係は友好で、台湾人からみて日本は信頼に値する」と述べた。また、台湾保険会社の国泰人寿では、すでに東京の不動産に投資するために600億円が準備されているという。投資先や時期などの具体策はまだ出ておらず、検討の段階ではあるが、王副主委は「今後、国泰人寿のように日本の不動産に投資する保険会社は増えていくだろう」と述べていた。
さらにセミナー後の質疑応答では、参加者の東京みらい不動産の大塚文彦代表取締役より「日台間で不動産購入を考えたとき、永住権や保証人などの問題から銀行がなかなか融資を出してくれず毎回苦労している。何かいいアドバイスはないか」という問いかけに対し、王副主委は「信用状況を把握するために、今後日台の金融機関の間で交流を強化し、頻繁に情報交換をすることが出来れば融資提供の実施にも繋がっていくのではないか」と答えたほか、「日本にはすでに台湾の銀行の支社が5社ある。台湾に戻ったら同5社の本社に、今頂いたご意見を伝えていいプランがないか聞こうと思う」と具体策を講じる意向を示していた。
RBC(Risk Based Capital)制度とは
RBC規制は,保険監督局に提出する年次報告書の各種資産,危険保険金,保険料,準備金等の所定の項目から公式ベースで定量化されるリスク量(実際にはその2分の1)を分母とし,広義の自己資本・サープラスである修正自己資本を分子としてRBC比率を算出し,この比率が所定の水準を下回る時に保険監督官が所定の介入を行うというもの。(英和生命保険用語辞典より引用)。