九州・山口との関係を一層強めたい 国慶祝賀演講会で陳銘俊・駐福岡総領事

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祝賀演講会の関係者たち

台北駐福岡経済文化辦事處(陳銘俊総領事)が主催する「慶祝中華民国(台湾)110年 国慶祝賀演講会」が10月7日にホテルオークラ福岡で開催され、九州・山口を中心に国会議員、各県の役職者や議会関係者をはじめとして各界から多くの人々が駆けつけ、建国を祝うとともに、日台関係の一層の発展・緊密化を誓った。

10月1日に新型コロナウイルスの緊急事態宣言が解除されたとはいえ、感染への警戒から酒食を伴う懇談はせず、会場内の椅子の配置にも十分な間隔を取り、マスクの着用、手指の消毒などに十分気を配っての会合となった。

演講会に先立って戦前の台湾で西洋美術を普及させ、台湾美術展覧会を創設するなど、台湾美術界に多大な貢献をした画家「塩月桃甫(1886-1954宮崎県出身)」のドキュメンタリー映画が上映され、会場に桃甫の作品数点も展示されて、参加者の興味を引いた。

これまでの国慶祝賀会では例年福岡工業大学の吹奏楽団が台日両国の国歌や祝賀の音楽を披露してきたが今回はコロナ禍のため、あらかじめ録画していた演奏ビデオを流して参会者が両国国旗に黙礼した。

福岡工業大学吹奏楽団の演奏ビデオで両国国旗に黙礼

国歌吹奏のあと10月1日から新しく福岡辦事處處長(総領事)に就任した陳銘俊氏が挨拶に立ち、台湾が日本と深いつながりを持つ中で特に九州・山口は台湾との関係が強く、今でも台湾のあちこちに両地の縁を示すものが残っていること。蔡英文総統や頼清徳副総統も九州・山口を訪問するなどして、お互いの間には切っても切れない関係があること。今後自分自身をはじめ辦事處全体が粉骨砕身の努力を重ねる中で、皆様と心を一つにしてさらに深い関係を築きたいと述べた。そして最後にここ5日間だけで150機もの戦闘機を飛ばして台湾に嫌がらせをする国の問題に触れ、九州・山口の人々の勇ましく義に厚い心で支援をお願いしたいと述べ、会場から賛同の拍手を浴びた。

挨拶する陳銘俊総領事

来賓を代表して最初に壇上に立った鬼木 誠衆議院議員(防衛副大臣)の悦子夫人は、議員が公務で参加できなかったことを詫びた上で建国110年のお祝いを述べるとともに、福岡でのコロナ対策がおぼつかなかった時に3万枚のマスク、フェイスガード、医療用ガウンなどを台湾から提供してもらい、県庁、九大病院、福岡市医師会、福大病院などに届けたことや、その御礼として日本から台湾にワクチンを送ったことなどのエピソードを披露し「これからも困ったときに助けあえる、心の通じあえる日台関係を続けていきたい」と述べた。

鬼木誠衆議院議員夫人・悦子様の挨拶

その後、長谷川裕一氏(博多21の会初代会長)、松浦正人氏(第29代全国市長会会長)、山崎 拓氏(元自由民主党副総裁)、原田義昭氏(元環境大臣)、松尾新吾氏(九州電力特別顧問)、石原 進氏(九州旅客鉄道特別顧問)、麻生 泰氏(九州経済連合会名誉会長)、麻生 渡氏(元福岡県知事)ほか、国及び地方自治体の議会関係者など多くの人々が中華民国建国110年のお祝いを述べるとともに夫々が持つ台湾との関係におけるエピソードを披露し、自由、民主、法の支配、経済、文化、教育などで共通する価値観を持つ日本と台湾が一層緊密な連携を保つべきとの考えを表明した。

これを受けて、福岡での役割を終えてバトンを引き渡した陳忠正・前総領事が登壇し、「赴任中の3年間、お世話になりました」と深々と頭を下げて参会者への謝辞を述べるとともに、「赴任中には数え切れない恩恵を受け、言葉で言い尽くせない感謝でいっぱいだ。後任の陳銘俊氏は自分の外務省入省以来30年の友人であり、慶應大学留学のクラスメートでもある。新しい総領事にぜひ皆様のお力添え、ご鞭撻をお願いしたい」と締めくくった。

新総領事への支援を依頼する陳忠正氏(右)