日薬大教授が産学連携にて熱中症対策キャップを監修 靴下老舗メーカーが少年軟式野球選手に試作品をプレゼント

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日本薬科大学の多根井重晴教授

日本国内では酷暑が続き、熱中症の救急搬送者が6月から急増する中、靴下の老舗メーカーである昌和莫大小株式会社(奈良県北葛城郡広陵町、井上克昭社長)は、熱中症対策の一環とし、地元少年軟式野球チーム・畝傍BC(ベースボールクラブ)の選手全員に、プロトタイプの白帽子をプレゼントした。

 井上社長は「新たな取り組みとし、熱中症対策用帽子を製作した。商品化にはスピード感を持って対応していきたい」と熱弁するとともに、選手に着用してもらい、接触冷感素材やUV対策、速乾・撥水加工などについて今後の改善につなげていきたいという。

 同社は今年で創業87年目を迎える。下肢静脈瘤患者の医療用靴下をすでに製造。その技術を転用した高機能素材製品とし、スポーツ選手向けブランド・OLENOを展開している。同製品を東京五輪で活躍した日本代表の陸上選手も愛用している。

 一方、今回の試作品を監修した日本薬科大学の多根井重晴教授は、同社とコラボした靴下の新商品を製品企画中である。多根井教授は「近年、地球温暖化対策が騒がれる中、特に夏場の熱中症対策は深刻な課題のひとつ。今回のような取り組みは地域の活性化にも繋がるため、地元企業と大学が連携して研究成果を商品化していくことは有益」と補足する。

 さて、第104回全国高校野球選手権大会が阪神甲子園球場で開催されたばかり。スパイクの色を黒から白へと変更しているチームもここ数年で増えているが、連日の猛暑で頑張っていたのは高校球児だけではなかった。畝傍BCの選手が夢の甲子園で活躍する日を待ち望む。

【熱中症について】

梅雨明けした6月に、熱中症で救急搬送された患者が全国で15,969人。昨年の同時期と比べ、11,024人も上回っている。本人が熱中症と気づかない場合も多く、吐き気症状に伴い、水分や塩分補給による応急処置ができないことも知られている。