臺灣師範大と日薬大の教授らがコラボした研究成果が毎年受賞

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師範大の朱教授(右)と日薬大の多根井教授(中央)・陳教授(左)【2019年5月に開催された運動休閒與餐旅管理國際學術研討會で撮影】

國立臺灣師範大學(台北市)の朱文増教授と日本薬科大学(埼玉県)の多根井重晴教授らによる研究チームは「国際学会・運動休閒與餐旅管理國際學術研討會」に毎年エントリーしており、これまで興味深い研究成果を発表するなど「優秀論文賞」を受賞している。

 「日本との友好に少しでも貢献していきたい」(朱教授)と、東日本大震災時に臺灣政府は義援金と物資を提供し、一方で新型コロナ感染症のパンデミック下では日本政府よりワクチンの無償提供がなされた経緯を説明。「日本で学位を取得した経験を活かし、これからも新たな研究テーマで成果を発表していきたい」と話した。

同チームは2019年に「日本の配置販売業に従事する配置員の教育現状と今後の課題」と題する研究を発表した。臺灣でも導入実績のある医薬品販売システムのひとつで、日本発祥の販売形態・配置販売業の歴史を紐解いたもの。この発表により、日本で導入されている登録販売者制度や実効的な教育研修制度のあり方について警鐘を鳴らすきっかけとなった。翌年の2020年には、臺灣と日本の大学生を対象とした意識調査を実施。栄養ドリンク剤の主要成分であるビタミンや食物繊維のカラーイメージが両国間でほぼ同系色だった。これに対し、滋養強壮や美容について、臺灣では『黄色・白色』、日本では『金色・桃色』と、国ごとに特徴的であることを突き止め、「栄養ドリンク剤のイメージカラーが消費者の購入心理に与える影響」と題する発表を口頭で行った。

また東日本大震災に関する研究では、災害時の行動について薬学生に討議させたところ、現地で震災を経験した薬学生の場合、現場責任者には患者利益を最優先すべき行動が求められると回答したのに対し、震災未経験者である薬学生は、むしろ従業員の安全に配慮すべきと回答した。これにより、災害時を想定した仮想場面によるロールプレイ教育が有益であることを「薬学生による大規模災害発生時の行動心理に関する検討」として2021年に報告した。

さらに「健康状態がエナジードリンクのカラーイメージ想起に与える影響について」をテーマとした今年のポスター発表では、消費者の心理状態との関係性を明らかにするとともに、商品に見合ったカラーの使用や、購入者の健康状態を考慮した陳列の工夫などについても提言した。

「来年こそ現地での開催が待ち望まれる」と期待する多根井教授は「新型コロナ感染症を鑑み、マスクあるいはアロマに関するテーマで発表したい」と補足した。両博士が知恵をしぼった新たな研究成果には、今後も注目されるところだ。