【日台交流】侯友宜氏が日本訪問、日華懇議員らと面会

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日華懇議員との懇談会

台湾の最大野党国民党の次期総統選公認候補、侯友宜新北市長は7月31日から8月2日、日本を訪問した。超党派の議員連盟「日華議員懇談会」の議員らと懇談したほか、自民党の萩生田光一政調会長や在日台湾人団体(僑団)なども会談し、日台関係のさらなる緊密化の姿勢を見せた。

日華懇と懇談で「台湾の安全、日本の安心」を強調

7月31日に衆議員第一会館で行われた日華懇との懇談会には同会の議員20人近くが集まり、在日台湾人団体からも総勢100近くが参加。

僑民と挨拶する侯氏

侯氏は挨拶で「自身の父が日本の教育を受けたことがあり、日本とは決してなじみがないわけではない」と説明。また日台関係について「日本による台湾へのワクチン提供、震災時の相互支援などこそ、日台間に結ばれた友情の証だ」と語った。

さらに同氏は「党の総統選候補であるから、台湾の民主主義と自由を守り、台湾海峡の平和と安定を維持し、台湾と日本間の実質的な関係も発展させていく」とし「台湾はリスク低減の役割を果たし、台湾海峡の安定、台湾の安全、日本の安心を実現する」と訴えた。

また同日の夜、侯氏は台湾歌手のジュディ・オング氏らと会食。侯氏のSNSによると王貞治氏も同席する予定だったが、新型コロナウイルスに感染したため欠席したという。

萩生田光一政調会長と会談「日台関係緊密に」

侯氏は8月1日、東京永田町にある自民党本部を訪れ、萩生田光一政調会長と会談した。台湾海峡の安定や台湾と日本の安全を確保する方針を示した上で、日台関係の緊密化に期待を寄せた。

萩生田光一政調会長と会談(写真:中央社)

侯氏は挨拶で「日台間の地理、歴史、文化においてつながっている。萩生田氏の台湾への支持に感謝し、新北市への訪問を願っている」と語った。また自身が来年1月に控える台湾次期総統選の国民党の公認候補として自民党を訪問したことに触れ、日華懇との懇談会にも話した「台湾海峡の安定、台湾の安全、日本の安心が最も重要な目標だ」と再び強調した。

これに対し、萩生田氏は「台湾と日本が自由、民主主義、法の支配など共通の価値観を持つ重要なパートナーだ」と指摘。「これからも日台間の関係を推し進めていく」と語った。

僑会との食事会「必ず政権交代を」

同日の夜、東京中山学会と横浜中山学会(いずれも国民党よりの僑会)が共同主催の食事会が行われた。

僑民団体との食事会

主催者である主任委員の莊海樹氏は挨拶で「民進党政権のもとで、台湾の政治と経済がとても厳しい状況になり、台湾海峡の平和と安定も失った」と与党を批判し「来年に控える総統選で政権交代を果たし、さらなる自由民主の台湾を作ろう」と呼びかけた。

出席した日本台湾親善協会の並木正芳副会長は「侯友宜氏との交流をしたい。我々は中華民国台湾との友好親善を推進していく」と述べ「台湾の平和は日本の平和でもある」との認識を示した。

侯氏は「総統選候補として初めての海外訪問は日本だ。皆さんの期待を負う私は、一生懸命に総統選を勝って見せる」と決心を見せた。また自身の政見について「衝突を避けて自由民主を守り、中国大陸との交流を深める。あとは自己防衛能力を強化する」と述べた。

孫文ゆかりの松本楼訪問を経て帰国

日華懇メンバーとの朝食会(写真:中央社)

訪問の最終日となった同2日午前、侯氏は日華懇の古屋圭司会長らと朝食を共にし、台湾の世界保健機関(WHO)や国際民間航空機関(ICAO)などへの参加支持を求めた。国民党によると、日華懇メンバーからの前向きな反応があったという。

孫文ゆかりの松本楼を見学(写真:中央社)

その後、侯氏は日比谷公園の日比谷松本楼を訪れ、国民党の創党者で中華民国の国父とされる孫文ゆかりの写真や資料などを見学した。辛亥革命の際、日本に亡命した孫文は松本楼を度々訪れた他、松本楼の小坂文乃社長の曽祖父である梅屋庄吉から友人として支援を受けていたとされる。侯氏は小坂氏の案内で、孫文夫人、宋慶齢が梅屋家滞在中に弾いたピアノや当時の写真を見て回った。

帰国した侯氏(写真:中央社)

のちの記者会見で侯氏は「今回の訪問で36名の日本国会議員と会見し、日本が台湾海峡の安全議題を注目していることを把握した」とし「日本の友人たちとこれから、日台関係をさらに深化していく」と強調した。 また両岸関係政策について「馬英九元総統が提出した『不統、不獨、不武(中国と統一しない、台湾独立しない、中国との軍事衝突を避ける)』は一番安定的な状態だ」との認識を示し、馬氏の方針を継承する姿勢を示した。