台湾与党が地方選で大敗

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台灣九合一大選於11月26日舉行(中央社)

台湾の22の県・市の首長らを選ぶ統一地方選が11月26日、投開票された。最大の野党国民党が15議席を獲得し圧勝となり、与党の民進党が6から5に1席減少し、柯文哲現台北市長が率いる民衆党が1席を獲得した。

6大都市選挙で国民党が優位に

人口の約7割を占める6大都市の市長選で、民進党は台南市、高雄市の再選を実現したものの、牙城の桃園市で出馬した林智堅が論文剽窃のスキャンダルで退出。それが原因で国民党に逆転優勝を許した。一方国民党は台北市と桃園市を8年ぶり取り戻したほか、新北市、台中市の再選も果たした。

当選を宣言した蒋萬安氏(蒋氏の実況から)

台北市長選に勝った蔣萬安氏(国民党所属)陣営が台湾時間の19時に勝利宣言を発表し「今回の勝利は2024年の政権交代につながる」と語り、支持者から歓声を受けている。一方、陳時中候補(民進党所属)陣営では同じ時間に敗選を認め、支持者に「この数ヶ月の支援を感謝する」と言い「台北市民の選択が明らかになった。みんなで新市長を支えよう」と呼びかけている。

陳時中氏がSNSで支持者を感謝した

大敗を受け、蔡総統が記者会見を行い「支持者を失望させ、人々の厳しい要求を謙虚に受け止め深く反省する」と述べ、敗戦の責任を引いて民進党主席を辞任した。今回の結果について、専門家の分析によると、景気の低迷と物価の高騰が原因だと指摘している。

激戦区・新竹市長選で民衆党が勝利

6大都市以外激戦区となったのは、最先端技術産業が集う都市・新竹市。民進党は副市長を務めた経験者沈慧虹を出馬させ、国民党の林耕仁氏と民衆党の高虹安氏との対決を臨んだ。高氏は選挙の始まりから民意調査でリードし続け、党内だけでなく国民党側からの支援を得ている。その結果、高氏が圧勝し、民衆党が台北市を失っても1席を獲得した。

38歳という若さで当選した高虹安氏(高氏の実況から)

高氏は勝利スピーチで「今まで与党によるスキャンダル攻撃を受けてきた」と選挙戦の経過を振り返し「しかし支持者のおかげで耐えてきた」と選挙総部に集まる支持者に感謝の意を伝えた。スピーチが終わった後、高氏の選挙総部では勝利の演奏会を開催し、支持者のテンションがさらに上がっている。

これにより、台湾北部の県市選では与党の民進党が全部敗退し、勢力圏が牙城となる南部に縮まっている。

蔡英文総統が敗戦の責任を引き党主席を辞任(蔡氏のSNSから)

地方選は総統任期4年間の中間選挙の位置付け。2020年に再選した蔡氏は対米国と日本の交流を深化し、対中国に距離を置いているが、今回の選挙で中国との関係改善を主張し続けた国民党に敗れた。これにより2024年の総統選で3回目の政権交代を実現する可能性も出てきた。

住民投票が不可決

地方選挙と同時に登場した選挙権を20歳から18歳に引き下げる住民投票は、選挙前の民意調査で6割の支持率を得ており、国会では与党民進党をはじめ、国民党、民衆党などの野党が今回の住民投票を支持して可決と見られていた。 しかし投票の結果について、同意票が512万票で不同意票の451万票より上回しとしても、可決の条件となる962万票に届かず、不可決となった。この結果に対し、公民団体が憲法解釈を申し込むことを検討すると発表した。