台湾の馬英九前総統が3月27日午後、中国上海に到着した。台湾の総統経験者が中国本土を訪問するのは1949年の分断以降初めて。
台湾の馬英九前総統の中国本土への訪問に対し、台湾の空港では訪問に反対する人たちのデモが起き、警察に静止される一幕もあった。馬氏は出発前にメディアの取材に応じ「両岸関係に関わり始めてから36年待ち、ようやく訪問の機会を得た」とし「若者の熱意ある活動を通じて両岸関係を緩和し、できる限り早く平和が訪れることを願っている」と述べた。
公式日程初日の同28日には、「国父」と呼ばれている孫文の中山陵を参拝した。なお、馬氏は参拝中に自らを「前総統」と称し「孫文が清帝国を倒して中華民国を建国してから112年が経た」と述べたという。
先祖の墓参りや学生との交流が主な目的としており、訪中は4月7日まで滞在する予定。政治色を薄めるためか習近平国家主席との面会の予定はない。
与党民進党の張志豪報道官は同27日「北京当局が馬氏の訪中の前日に合わせて台湾とホンジュラスの断交を操作した」とし「馬氏は他人が顔に唾を吐いても自ら乾くことを待つ『唾面自乾』を選んだ」と力強く批判した。これに対し国民党の朱立倫主席は「馬氏が中華民国の立場を堅持すると信じている。国民は両岸関係がさらに平和になることを期待している」と馬氏を支持した。
台湾は2024年に総統選が控える。中国側と対話路線を取る野党国民党の馬氏の歴史的な訪問をアピールすることで、中国に対立的な与党・民進党の支持を減らす狙いがあるとみられる。
