台湾物産館 藤田克己社長インタビュー

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藤田克己社長
 
台湾産農産物の日本での知名度アップを図り、普及させる狙いで台湾の行政院(内閣に相当)と農業委員会(農水省に相当)のプロジェクトとして2006年にオープンした台湾物産館。東京・笹塚に店舗を構える同店の経営を担っているのは首都圏に輸入販売店舗網を持つ池栄青果。今年8月で開店7年目を迎える台湾物産館について、池栄青果の藤田克己社長に話を聞いた。
 10年前までは台湾に行ったことさえなかった藤田社長だが、今では頻繁に日本と台湾を行き来。常に産地を見て、生育状況を確認している。藤田社長と台湾のパートナー(契約農家、農協など)とは長年かけて培った深い絆があり、これが同店の強みでもある。だが、国が違うため開店してからも数え切れないほどの苦労があった。例えば、両国の基準の違い、表示、重量、衛生管理に対する考え方の違い、また日本の関税が高額など。一つ一つの壁を乗り越え、台湾物産館は今では在留台湾人や台湾に馴染みがある人々にとってなくてはならない存在となっている。国民性が‘嘘をつかず、きちんと約束を守る’台湾人だからこそ、ここまでやってこれたと藤田社長は話す。日本国内で台湾産農産物の普及に日々奔走する藤田社長。日本ではあまり知られていなかった台中産ポン柑も藤田社長が取引して以来、輸入量が40%増となるなど、効果が出てきている。
 現在台湾から輸入されている果物、全9品目中で一番伸びているのは、やはりマンゴー。今後の課題として、このマンゴ―を大事にしていかなければならない。また、現在は台湾産マンゴーを一括りにして「愛文マンゴー」だけ輸入許可されているが、今後は生産地ごとにマンゴーをブランド化することが大事だとも。2011年のデータでは台湾でのマンゴー年間生産量約20万トンのうち、日本向けは1160トンのみ。また、日本での世界中からの年間マンゴー輸入量は約1万1千トン。藤田社長は「台湾産マンゴーは10%のシェアを占めているに過ぎない、まだまだ参入の余地はある」と意欲を示した。今後、二号店、三号店のオープンにも期待したい。
 台湾物産館では7月中旬まで台中フェア、また7月29日まで台湾全体の農産物だけでなく、水産品、畜産品、加工食品をも主力にし「台湾フェア」を開催した。今年は日本のウナギが高いこともあり、時期的に土用の丑の日とも重なったため、台湾産ウナギに注目が集まっていた。暑さ続くこの時期、同店内で味わえる雪花氷(マンゴーかき氷)も是非試していただきたい。